患者の負担が少ない矯正治療の種類をリサーチ。特徴やメリット・デメリットを分かりやすく紹介しています。
一昔前の矯正治療は、歯に取り付けた装置が目立ちすぎて、“恥ずかしい…”と感じてしまっていた人も多かったのではないでしょうか。
子供の頃ならまだしも「大人になってから矯正治療なんて」という周りの目が気になって、矯正が必要だと診断されても治療を受ける人は少ないのが現状でした。
しかし、最近の矯正治療の技術は格段に進歩しています。外から見えにくく目立たないものや、短期間で治療できる装置など、新しい矯正装置がどんどん登場。さらに、痛みや違和感の少ないもの、食事のときは取り外しできる装置などもあって、治療を受ける患者さんの負担も軽減されてきています。
現代の矯正治療は、患者一人一人の悩みや症状、予算やライフスタイルに合わせて、治療の方法を選択できる時代なのです。
そこで、現在多くの歯科クリニックで採用されている矯正治療法の中から、代表的な種類をピックアップ。治療の特徴やメリット・デメリット、どんな症状にオススメかなどをまとめて解説しましょう。
参考:(PDF)「舌側矯正装置を用いて短期間で治療を終了 した前歯部 交叉咬合 を伴 うアングルⅢ級不正咬合症例の1治 験例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjloa1990/1997/8/1997_8_3/_pdf
ワイヤー矯正は、一番一般的な方法です。ブラケットで歯の表面を固定して、ワイヤーをつないで歯の位置をずらしていきます。従来、ブラケットが金属で作られているため、矯正している間、装置が目立つという欠点がありました。しかし、最近では、目立たない、歯と同じ色のセラミックタイプや透明素材のタイプもあります。しかし、お値段はメタルブラケットに比べると少し高くなります。
とはいえ、他の方法よりもワイヤー矯正は、比較的リーズナブルです。圧迫する力がかなり強いので乱杭歯や八重歯、前歯が前方に著しく出ている場合などに利用されます。デメリットは、いつもブラケットを押し付けているので、歯磨きがしにくく、虫歯になりやすいということです。費用は50万円から100万円ほどで、歯の状態によります。目立たないブラケットを使用したい場合は、プラス20万円程度増額です。
マウスピース矯正は、それぞれの口腔内よりわずかに理想の形に近い形に作られたマウスピースを装着して、少しずつ矯正していく方法です。装置は着脱が可能ですから、食事のたびに取り外せ、歯もきちんと磨けるので、虫歯の心配が少ない矯正方法です。透明なマウスピースは、光沢なども歯に近い状態に作られていますから、ちょっと見ただけでは、矯正しているかどうかはわかりません。
以前は、マウスピースを使った矯正は、軽度の歯並びの悪さのみに対応していましたが、現在はインビザラインなど新しいメソッドができ、乱杭歯などにも対応できるようになりました。ホワイトニングが同時にできるのもメリットのひとつです。ただし、1日に20時間以上装着していないと、効果がありませんから、ついついつけ忘れてしまい効果が出ない場合があります。
とくに子供に使用する場合、両親がきちんとコントロールする必要があります。インビザラインは、フル装着で70万円から100万円くらい。部分的に矯正する場合は30万円くらいです。クリニックで相談して、どの部分に必要か、または全体に必要かを判断してもらいましょう。
セラミック矯正は、実際には「矯正」ということではなく、歯の表面を少し削って、セラミックの歯を貼り付ける方法です。軽度の問題で、例えば、前歯に少しだけ隙間があって気になるような場合に、時間短縮でできる方法です。結婚式などで、すぐにきれいな歯ならびになりたいとき、2~3回程度の通院でできます。
自分の歯を削るので、歯の寿命が短くなる可能性があります。また、歯並びは変わらないので、噛み合わせがよくなるわけではありません。費用は前歯に貼り付けるラミネートは、1本約8万円くらいです。
歯の表面にワイヤーをつける矯正法ではなく、歯の裏側に装置をつける方法で、舌側矯正または、リンガル矯正という名前で呼ばれることが多い方法です。裏側に装置をつけているので、外側からはほとんど目立ちません。舌が当たる部分に装置があるので、しゃべりにくいという欠点があります。
下顎はワイヤーとブラケット、上顎のみ裏側矯正にするハーフリンガルという方法もあります。装置は日々進化しているので、少しずつ違和感のない装置も出てきています。費用は、100万円~150万円くらいで、割高な矯正方法です。
歯並びの悪さは遺伝が原因の場合もありますが、時として舌癖による場合もあります。舌癖が悪い場合、せっかく矯正しても元にもどる場合がありますし、軽度の歯並びの悪さは舌癖を改善することで、修正される場合もあります。そのため、MFT(口腔筋機能療法)を実施しているクリニックに行って、舌癖を改善することも考慮してください。発音もきれいになり、一石二鳥です。
【番外】矯正治療と並行してできるMFT(口腔筋機能療法)を解説
参考:小児歯科学雑誌「舌小帯形成術後に口腔筋機能療法を行った 1 例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd/51/3/51_402/_pdf
矯正方法を選ぶときは、それぞれの人が何にポイントを置くかで決まります。見た目がだいじな場合は、裏側矯正やマウスピース、予算が一番重要ポイントであれば、ワイヤー矯正など。それぞれのニーズで選びましょう。また、口の中の状態によって歯医者さんが推奨する方法なども考慮に入れてください。
費用 | 65万円~ |
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期間 | 半年~ |
費用 | 55万円~ |
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期間 | 1年~ |
費用 | 110万円~ |
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期間 | 2年~ |
◆歯科矯正治療の費用と期間について
矯正歯科の平均的な費用は80~120万円、期間については平均2~3年と言われています。
症状やクリニックによって費用・期間ともに変動しますので、一度問い合わせてみることをおすすめします。
◆副作用について
矯正中は虫歯や歯周病、装置の接触による口内炎などにかかりやすくなる可能性があります。
また、金属の装置による金属アレルギーなどの恐れもありますので、不安な点についてはクリニックへご相談ください。