顎変形症は、歯並びを悪くして、咀嚼不全や発音障害を引き起こすだけじゃなく、頭蓋骨の歪みなど他の症状にも発展していきます。顎変形症の方は、早期の治療・対策が必要です。
顎変形症には、主に5種類あります。
上の歯が前に突出している「上顎前突症」、下の歯が突出している「下顎前突症(反対咬合)」、上下の歯の間に隙間がある「開咬症」、顔面正中に対して顎の位置がズレている「顔面非対称」、下顎が奥にある「下顎後退症(小下顎症)」です。
俗にいう出っ歯は、「上顎前突症」または「下顎後退症」が原因になっている場合が多く、しゃくれ・受け口は「下顎前突症」にあたります。
同じ症状でも、原因によって「骨格性」と「歯性」に分かれます。 「骨格性」では歯の土台となる骨格に異常があり、たとえば「骨格性上顎前突症」は、上顎の過成長もしくは下顎の劣成長(あるいは両方)により、上顎が下顎よりも前に出ている状態です。
歯の傾きにより噛み合わせのズレが生じた場合は「歯性」であり、骨格性と歯性が同時に起こることもあります。
顎変形症の原因が歯にあり、その症状が軽度な場合には「歯列矯正」で改善できます。歯並びを真っ直ぐにすることを「歯列矯正」といい、ブラケットやマウスピートなどの矯正装置を使用する方法が一般的です。 骨格自体に異状がある場合には、歯列矯正ではなく「歯科矯正」を行います。歯科矯正では、歯だけじゃなく顎も含めた治療を行いますが、重度の場合は外科手術が必要です。
ブラケットでは、歯の表面に金具をつけてワイヤーで縛り付けますが、金具の代わりにプラスチックやセラミックを使用する「審美ブラケット」、歯の表側ではなく裏側に付ける「裏側矯正(舌側矯正)」などがあります。 マウスピースは、透明の型を歯の上から被せる方法です。経過に応じてマウスピースを交換しながら、歯のズレを改善していきます。
一番価格を抑えられるのは通常のブランケットまたはマウスピースです。矯正装置を周囲に見られたくないという方には裏側矯正がおすすめですが、通常のブランケットよりも費用がかかるでしょう。
顎を削る、あるいは人工骨を入れるなどして顎を増やす必要がある場合は、外科手術を行います。治療法によって費用に差がありますが、顎変形症は保険適用の対象であり、厚生労働省の指定する医療機関で手を行えば、治療費が安くなります。
ブラケットやマウスピースは保険適用の対象外ですが、骨格を直した上で歯並びも矯正したい場合には、歯列矯正も必要になるでしょう。
その場合、費用が高額になるだけじゃなく、治療期間も長期に及びます。医療機関と主治医の選択は慎重に行ってください。
歯科矯正で歯の位置を元に戻しても、生活習慣によって再び顎変形症になる可能性があります。
歯を舌で押す、長時間何かを齧り続ける、歯ぎしりをする、片方の頬だけ頬杖をつくなどすると、歯が少しずつズレて噛み合わせが悪くなります。
顎変形症を直すには、生活習慣も一緒に見直す必要がありますね。
費用 | 65万円~ |
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期間 | 半年~ |
費用 | 55万円~ |
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期間 | 1年~ |
費用 | 110万円~ |
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期間 | 2年~ |
◆歯科矯正治療の費用と期間について
矯正歯科の平均的な費用は80~120万円、期間については平均2~3年と言われています。
症状やクリニックによって費用・期間ともに変動しますので、一度問い合わせてみることをおすすめします。
◆副作用について
矯正中は虫歯や歯周病、装置の接触による口内炎などにかかりやすくなる可能性があります。
また、金属の装置による金属アレルギーなどの恐れもありますので、不安な点についてはクリニックへご相談ください。